• 映画を少しばかり外から眺めてみるそのカタチ
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    <   2007年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧
    テレビと映画の境目追記
    前回の記事の追記です。Japan TimesがダイハツのミラCMについての記事を掲載していたのを発見したので、その抜粋を↓に。2006年の最低TVコマーシャルに輝いていたんですね、このCM。
    Bringing out the gongs in the world of media

    Worst TV commercial: Daihatsu's Mira

    A 16-year-old boy carries his giggling 40-year-old mother on his shoulders. She climbs down and gets behind the wheel of Daihatsu's Mira minicar, telling her son before she drives off alone, "I'm just going to have some fun." The mother is played by the actress called You and the son by Yuya Yagira. They played out the same relationship in the award-winning film "Nobody Knows," in which a single mother instructs her 11-year-old son to take care of his three younger siblings when she goes off to have some fun. She never returns.

    Sunday, January 7, 2007
    By Philip Brasor

    これは映画『誰も知らない』の中でのストーリーを引用しているので、また母親が子供を見捨てて蒸発するということを暗示してしまい、こうした親子関係をCM内で表象するのはいかがなものか、ということですね。映画リリース当時も映画の内容と実際の事実との相違などで議論になったのを覚えていますが、そのことを踏まえても、このCMひとつ分析するで映画の中、外、中、外と非常に忙しいことになりますね。得てして媒体の枠を飛び交う議論は非常にケースセンシティブですのでね。まぁ、また何かありましたら記事にしてみようかと思います。
    Depper


    参照:
    Asia Media:Media News Daily
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    by corin_depper | 2007-01-26 05:45 | 雑記
    Un Certain Regard: テレビと映画の境目
    e0039500_2134334.jpg現在、日本映画界は着実に変容を続けていると思う毎日なのですが、それを現象を裏付けるある一つの視点としてタイトルにあるようなテレビという媒体と映画という媒体の境界線が非常に曖昧になってきている、ということが挙げられるのではないでしょうか。この現象は、よく言えば、テレビと映画が共存共栄を始めたというべきでしょうか。悲観的な見方をすると媒体としての枠組みがあやふやになってしまい、結果飽和してしまって、最終的に危うさを抱えるのは映画界なのではないかな、なんて暇のないときに限ってそんなことが頭を右へ左へ飛び交います。

    今回は一つの顕著なれ例として、ダイハツ「ミラ」のCMを挙げたいと思います。ワンダフルスモール。テレビは昔から欧米では映画の大きなスクリーンと比較して、スモールスクリーンと呼ばれたりするわけですが、そういう意味でもワンダフルスモールなんでしょうかね。ワンダフルは、『ワンダフルライフ』から来てたり・・・。さぁ、それはさておき、このCMには映画作品が引用されているわけです。是枝監督の『誰も知らない』なんですが、その映画で登場する親子(柳楽君とYOU)が、そのままの母子設定でCMに登場していますね。半分表象論になってしまいますが、その映画で表象される母と子、その関係のイメージを使っているのは明らかなんですが、興味深いことはその映画からの時間軸をそのまま現時点に以降させているということではないでしょうかね。つまり、子供役だった柳楽君は一見すぐに成長していることが伺えますよね。確実に少年期を過ぎ、青年期の始まりへと成長しているわけで、その大きくなった彼が母であるYOUを肩車をしているわけです。つまり、映画の設定から私達現実世界の時間分過ぎたことを前提に、あの親子は今、という形で提示されてるわけです。それをうまくダイハツさんが、子離れの時期がきたら、お母さん、車でも買い替えてみませんか、「ミラ」に乗って第二の人生を謳歌しませんか、と訴えているわけです。
    e0039500_21541712.jpg
    映画の中で他の映画を引用することは珍しくありませんし、また映画の中で時代反映、社会の鏡的に時代時代を表象するテレビ番組が流れていたりするのも珍しくありません。よく、ビッグスクリーンの中のスモールスクリーン、という概念で研究したものも目にします。がしかしですね、テレビの、さらに、CMという媒体の中で映画を引用する、これは得てして画期的なことではないかと思うわけでして、冒頭で言ったように、顕著な現象の一つとして数えられると思うわけです。

    e0039500_227664.jpgまた例えば、映画は商業的繁栄を享受するために、抱き合わせ商法、俗に言うtie-in(タイイン)と呼ばれる奴ですが、つまり、映画で使われた音楽や主題歌をサントラなどで売り、Tシャツやキャラクター商品も売り出す、原作があれば原作本を新たに、もしくは脚本を小説化などなどしてきたわけですね。では、果たして、このダイハツ「ミラ」の映画引用CM(勝手に名付けますがね)が果たしてこの従来の抱き合わせ商法と同じカテゴリーとして扱ってよいものでしょうか。厳密に言えば範疇から逸脱してるわけですが、今後この手の引用をどう分類していくのか、これもまた研究課題になるのではないかと思われるわけです、はい。結果はどうあれ、テレビと映画の境目が変容していくのを、非常に興味深く観察していきたいと考えている今日この頃でした。
    Depper


    参照:
    ミラカスタムTV-CM オンラインショーケース
    映画『誰も知らない』公式HP
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    by corin_depper | 2007-01-23 22:04 | 雑記
    『40歳の童貞男』:オタクのフィギュアとVirginity
    e0039500_3203015.jpg

    寒中お見舞い申し上げます。Corinです。今日のレビュー作品は、『40歳の童貞男』(原題『The 40 Year-old Virgin』)となっております。適切な言葉を選ぶのが面倒くさいので簡潔に内容を説明すると、40歳の童貞男が童貞を卒業するために大騒ぎする、って話ですね。まあ、なんて言うか、タイトルのまんまなんですけどね。

    この映画、いかにも学問の世界で無視されちゃいそうな作品なんですが、非常によく仕上がっています。というのも、とっても分析しやすく、わかりやすいんですね。この(いい意味での)単純さこそが、Box Officeで成功を収め、主役のSteve Carellを一躍ハリウッドで有名にした所以なんじゃないかと思います。ちなみに、この『40歳の童貞男』は2005年の全米Box Office 25位で、『SAYURI』こと『Memoirs of Geisha』は27位で負け。逆に上位を見てみると、23位は『Walk the Line』、24位は『Brokeback Mountain』。オスカー受賞作品に見事に挟まれてますね。とはいえ、『40歳の童貞男』はオスカーこそ掠りもしませんでしたが、それなりに賞レースにも食い込み、特に批評家からの人気が高い作品です。

    e0039500_3205330.jpgさてさて、つい無駄話をたらたらとしてしまいましたが、今回注目したいのは、主役のアンディと、彼の所有するフィギュア・コレクションとの関連性です。主役のアンディは、内向的で、保守的。それを示すように、彼は人数合わせでポーカーに誘われるまで、一度も会社の同僚と飲みに行ったこともなく、ゲームとフィギュアのコレクションに囲まれた自分のおウチにいるのが大好き。ウチに篭って、一人でゲームに集中し、フィギュアに話しかけ、毎日を同じリズムで繰り返す。一方、彼は一見かなり地味だけど、実はユーモアに富んでいて会話も面白く、女性からはオーウェン・ウィルソン(ルークの方かも… どっちか忘れました 汗)に似てると言われるくらいかっこいいし、しかも心優しい魅力の持ち主。ここで考えてみてください。アンディって、フィギュアそのものじゃないですか?

    アンディの集めているフィギュアは、全部「箱入り」ですよね。その理由を彼は、市場で「箱つき未開封」のほうが価値が出るから、と説明しています。そして、フィギュアのキャラクターのほとんどが脇役級。かっこいいヒーローのフィギュアは誰にでも人気があるので大量生産されるため価値が出ませんが、脇役は一部の人間にしかその魅力を認識されないが故にあまり人気がなく、手に入りにくいので、これまた価値が出るんですね。そしてそして、アンディ自身も彼のフィギュア・コレクションと同様に、家という「箱」に入って、世間に出て汚されることもなく「未使用」な状態を貫いたまま、その「魅力」をシャツinスタイルの裏に隠し持った、貴重な存在だと言えるわけです。

    e0039500_325424.jpgすったもんだして、最後にはアンディは「箱」だった家から飛び出して最愛のトリーシュと結婚、Virginを卒業し、彼のフィギュア・コレクションも世に(オークションに)出て50万ドルの値をつけました。結婚式でアンディの同僚が、「(自分の子供にも)おもちゃを買おう」と発言していますが、これ、非常に興味深いです。もちろん、表面的には「今のうちにおもちゃを買って、新品未開封のまま保存して、40年後に売って儲けよう」という意味がありますが、一方で処女崇拝的な意味合いもプンプン感じられますよね。

    以上、なんだか長くなってしまいましたが、『40歳の童貞男』という作品のなかで、アンディのフィギュアは、アンディ自身のメタファーされた姿、分身なんじゃないか、ということでした。この作品を通して今回私が考えたのは、映画において、オタクが集めるフィギュアというは、Virginityつまり(性別問わずの)処女性の象徴なんじゃないかな、ということです。別にオタクはVirginだとか言ってるわけじゃありません。実際はフィギュアを箱から出して思う存分遊ぶ方もいらっしゃるでしょうし。ただ、映画のなかで、象徴として機能しているんじゃいないか、と申しているわけであります。そういった点で、あの『電車男』をもう一回見てみたくなりました。ところで、この映画は男性が主役ですが、同じような設定で女性を主役にした映画ってありますかね?
    Corin


    公式: http://www.eiga.com/official/40DT/ (日本語)
         http://www.the40yearoldvirgin.com/ (英語)
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    by corin_depper | 2007-01-12 03:27 | レビューと考察
    『嫌われ松子の一生』と「母親」の不在
    e0039500_49284.gif皆様、あけましておめでとうございます。2ヶ月ぶりの投稿となります、Corinです。さてさて、今日は久しぶりにレビューを書きますよ。映画は、先日年末のDVD半額レンタルで借りた『嫌われ松子の一生』。いやいや、キャスティングが豪華ですね~ぇ。個人的にはもうそれだけでお腹いっぱい楽しめちゃうんですが、それは置いといて…。

    ちょっとまじめに考えてみました。というのも、観終わったあと、ひとつ気になることがありました。この話には、「母親」が出てこないんですよね。妹への嫉妬あり、父親と兄との確執あり、でも母親はストーリーに絡んでこない。時代背景的にも、演出的にも、松子の家族が厳格な家父長制なのは明らかなのですが、家族というテーマが大きく扱われる割には母親が不在なんです。
    e0039500_4103634.jpg
    では、他の登場人物を見てみると……、「嫌われ松子」は実は女性からは「愛され松子」なんですよね。松子が苦境に立っているとき、助けてくれるのはいつも女性です。例えば、愛人に捨てられてソープ嬢になろうとしたとき、拾ってくれたのがBonnie Pink演じる綾乃。刑務所時代の親友であり、仕事もせず引きこもり生活を送る松子を救おうとする沢村めぐみ。彼女たちは一見、母性を持って松子に接しているようにも見えますが、「母親」ではなく、「独立した女性」です。綾乃はソープ嬢を辞めたあと小料理屋を開くと発言していますし、沢村めぐみはAV女優兼AV制作会社の社長です。いわば2人とも、家庭に入って主婦になるわけではなく、自分の力で生計を立てていくプログレッシブな女性像を演じているわけです。そして、めぐみに名詞を渡された松子は、「まだやれる」と、自らも美容師としてやり直すことを決意しています。男にすがることもなく、よって母親になることもなく。
    e0039500_411494.jpg
    最後に、松子の教え子であり、恋人であった龍は「松子は俺の神だったんです…」と言っています。そう、彼女は「マリア様」ではないんです。こうして「母親」という女性の役割やあり方が無視されたままストーリーが完結していく『嫌われ松子の一生』。ドラマのほうは見てなかったんですが、ストーリーとか設定は全く同じなんでしょうか?どなたか、よろしければ教えて下さい。

    e0039500_4123740.jpg


    何はともあれ、2007年もフィルム・アカデミアをどうぞよろしくお願いいたします!




    Corin


    公式:http://kiraware.goo.ne.jp/
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    by corin_depper | 2007-01-01 04:20 | レビューと考察