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  • 映画を少しばかり外から眺めてみるそのカタチ

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    『たそがれ清兵衛』で男ついて少し考える
    『たそがれ清兵衛』で男ついて少し考える_e0039500_1241240.jpg久しぶりにDVDで『たそがれ清兵衛』を鑑賞。これで見るのはかれこれ3度目か4度目だったのだが、ふとある一つの疑問が脳裏をよぎった。それは、清兵衛は最初からすごくフェミナイズ/女性化(Feminized)もしくは激しく去勢された(Castrated)状態ではないか!ということ。そして、「武士」ではあるかもしれないが、「サムライ(Samurai)」ではないな、ということ。

    先に一言弁明しておきますが、これはあくまでもジェンダー的表象という角度からこの映画もしくはあらゆる映画の構成要素を見た場合に見えた一貫性のお話で、表面上の物語とは異なりますし、どちらかというと少しビジュアル精神分析(Psychoanalysis)に近いカタチになりますが、一から映像取り上げてやるつもりもありませんし、これは!Σ(・Д・ノ)ノ と思ったところを羅列してみようかと・・・。
    『たそがれ清兵衛』で男ついて少し考える_e0039500_13393444.jpg
    まず、主人公の清兵衛は最初から男らしさを抑圧された状況・環境から映画は始まります。つまり、妻を亡くしたところからですが、これにより彼は性的な対象外の女性のみに囲まれて生活をすることになるのです。つまり、男という性を感じることができない状態で、かつ女性(しかも性的に未発達・もしくは性的魅力の喪失した)と共存をするわけです。

    次に、多くの海外での批評・レビューでは彼の父親としての側面が語られていますが。それもそのはず、「父」であるだけで、「男性」ではないからです。名前は出しませんが、どこぞの日本の新聞は古き懐かしの父親像とどこぞのイラストレーターの名前で書かれていましたが、とんでもない。古き懐かしいのは時代であって、清兵衛はむしろその時代にはイビツな現代における理想の父親像なのです(よって極端な男らしさが伺えない)。つまり、プライベートでは「親父」でありさえすればよい状況下で、性的な男性である必要性が全く与えられてなく、なおかつ古き良き家父長的な父親像も持ち合わせてなく(叔父役の丹波哲郎がむしろそれ)、ただただ生活を支える経済的な力だけで、それすらもアイデンティティにできるほど稼げていません。古いかどうかは別として、ありとあらゆる男性が削られている。そんな役柄です、清兵衛。

    そして彼は「武士」という身分でありながら、時代柄「武士」をさせてもらえていません。徐々に「武士」である身だしなみは損なわれ(男らしさが損なわれ)刀を鍬や鋤に持ち替えて農作業をやらされ、勤め先では事務ばかり。つまり、男根の象徴(Phallus)である刀の存在価値を全く否定された状況でいわゆる「武士」をやらされているのです。更に更に、聞けば戸田しぇんしぇいのところで習った剣術は、小太刀というではありませんか。男根(Phallus)の象徴である刀すら極端に短いものなのです。もはや彼の男としてのアイデンティティはずたぼろです。逆にそういう環境に安住しているようでもあります。
    『たそがれ清兵衛』で男ついて少し考える_e0039500_1463053.jpg
    ところが、そんな男らしさを失い、女性化されてしまっている清兵衛に、お上から「男になれ」と藩命を受けます。つまり、「武士」の本分である刀による戦闘行為を行い、藩随一の剣術の使い手を討ち取って「男のアイデンティティ」を再構築してこいということです。さぁ、これは困った清兵衛。そこで重要な役割をするのが親友飯沼の妹の朋江です。(名前をピンクにしたら過激フェミの方からしかられそうです・・・汗)彼女は最初から「女性」をぷんぷん匂わせて登場します。その彼女をまず別れた夫から木刀(まだ真剣を扱えるほど男を回復できない清兵衛)で守ることによって、昔あった自分の中の「男」を確認させられます。その朋江はんを呼び寄せて、心中にある「男」の欲求をぶつけ、「武士」としての身だしなみを整えてもらうことで、彼は「男になる」準備と覚悟をするのです。ただ、まげを整え、正装をするだけで、頭などは剃ることもできず到底完璧な「武士」の姿ではないのです。

    そして彼が無事お役目を終えて「男」を証明して帰ったとき、そこに「女」である朋江が待っていることは容易に想像が付きました。この後に、朋江を娶り、数年一緒に暮らした後に「兵士」ではなく「武士」として戦いに参加し、討ち死にをしたようですが、彼が身なりも精神も「武士」である状態で人生を閉じたであろうことは想像に難くありません。こうしてジェンダーという側面で眺めてみると、この映画は主人公の「男らしさ」の回復の物語であります。最初から彼の「父性」としてのアイデンティティは揺らがず不動ですが、性的「男性」としては不能でありました。それを最終的に回復させたのはまぎれもなく性的「女性」でした。

    時代は変わり、社会では男性の女性化が叫ばれるようになって久しく、この国に「武士」は消え、上っ面の男根を振り回せない現代の男性はどこで「男」を見つければよいのでしょうか。そんなところを見ながら、そんなことを考えさせられながら鑑賞した今回の『たそがれ清兵衛』でした。
    Depper

    公式:
    http://www.shochiku.co.jp/seibei/

    参照:
    http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=238297
    by Corin_Depper | 2005-08-19 14:34 | レビューと考察